2010年3月議会

平成22年度 大野城市一般会計予算について、反対討論

 

 第28号議案 平成22年度 大野城市一般会計予算について、反対討論致します。
 昨年5月に奈良県であった、第6回市町村議会議員研修会で「そもそも財政とは何か?」と題し、基礎から学ぶ自治体の予算・決算という講義を6時間受けてきました。しかしどれほど理解できたか?財政とは大変難しい、しかし市民生活に直結する大変重要な問題です。さて講師の先生が財政の原理とは?と話し出されて「出づるを量り入るを制す」であり、「量出制入」でなければならない。今までの財政は「量入制出」であり自治体が財政運営につまずいている原因である、と説かれた。
 家計(賃金)や企業(売上)の収入は市場原理で決められ、支出はその範囲内で行わなければならない。収入以上の支出はあり得ない。
 しかし財政の支出と収入は政治的課程で決まり、不足する収入を増税や料金で追加徴収することができるし、地方債を財源に頼ってきた。財源不足の時代従来の予算編成では、住民向け公共サービスを縮小・廃止に結びつく結果となる。国民は納税の義務を負い、その税金は「等価交換」という直接給付はないが、行政サービスの財源として住民に還元され、私達にかえって来ます。行政サービスは、住民の共同家計として、社会全体のために還元されなければなりません。予算を検証する時、市の借金は収入の許容範囲であるか?
 借金返済のために、住民サービスを縮小していないか?を充分配慮しなければならないと考えました。
 大野城市の平成22年度予算は、10億1千万円増の、297億6,100万円と積極型の予算になっていますが、歳入の自主財源項目は、軒並み減収です。市税は法人市民税が、前年とほぼ同額が見込まれますが、個人市民税の落ち込みは、かなり厳しい状況になっています。
 依存財源の中で、臨時財政対策債が49.7%も増額になっている点は、国の予算編成から見ても、地方への財政措置が果たして確実か大変危惧をするところです。自主財源と依存財源の割合は、昨年の当初予算と比べ、かなり依存度が高くなっていて、財政の独立が少しずつ低下しているように思えます。歳出は、景気の悪化で扶助費が大幅に増え、義務的経費が50.3%と昨年より5ポイントも増えています。収入は増えたが後で戻すと言う約束の借金が増えて、収入の半分は支払い義務がある、という「きちきち」の財布の中身のような本年度予算ですが、行政運営は待ったなしの経営を要求されます。
 総合的に言って、「つつがなく」策定された事業が多い中で、38項目の新規事業が提案されていますが、基金創設の事業内容が明確でないものに、予算だけを付け、結果財源確保だけなのか不明なものや、財政難と言いながら、イベントや施設整備に多額の予算が組まれています。子ども達の命を守る事業、教育の質を向上させるための支援事業、地域産業支援や地場企業への仕事起こし事業の予算の使い方、市全体の享受のために予算を使う反面、特定団体への多額の同和補助金は依然として続ける、水道企業団への負担金や出資金は、国や県が行うことには言われるままに支払ってきているが、根拠となるデーターは、要求する側の資料を基にしていること等、詳細に検証をすると、果たして市民が期待をしている事業なのか?
 市民は何を要求しているかを明確に把握した事業なのか?
 全国から注目されるものと、住民サービスとはかみ合っているのか? 選択と集中は適正になされているか? そう考えると、市民の皆さんに自信を持って提供できますとは、言い難い内容です。
 財政とは何か?もっと極める必要があると、私は思います。
  以上の理由で、第28号議案に反対であります。

 
一般質問
 

  13番。日本共産党の松下真一です。
 私は、3月定例会において、1学習団体について、2国保問題について、3住宅リフォーム助成制度についての3点質問致します。
 さて、大野城市には市の各施設を定期的に利用して、芸術・文化地域課題などの学習活動やスポーツ・レクリエーション活動を行う非営利団体の登録を行い、施設の定期使用や施設利用補助金の交付など支援を行っています。芸術・文化・地域課題などの学習活動を行う団体を「学習団体」、スポーツ・レクリエーション活動を行う団体を「スポーツ登録団体」として毎年2月初旬に登録受け付けを行います。
 学習団体は文化学習課・スポーツ登録団体はスポーツ課が担当してありますが、それぞれ登録に関する規定が定められています。
 今回質問致しますのは、学習団体についてであります。
 先ほども述べましたが、学習団体として登録するためには、大野城市学習団体の登録に関する規定に則って申請を行わなければなりません。第1条にはこの規定の趣旨が謳われています。
 生涯学習施設の効果的な管理運営及び学習団体の健全育成を図るために登録に必要な事項を定める、とあります。
 登録申請には、様式第1号から様式第6号まで申請書の作成提出が必要ですが、平成21年度の登録申請時には、様式第1号・大野城市学習団体登録申請書が2種類存在していました。その1つには大野城市学習団体の登録に関する規定に明記していない「承諾書」が記載されていたのです。市民はこの規定を義務づけられますが、市は規定を遵守しているのでしょうか? 詳細を尋ねます。
 次に国保問題について質問します。
  去る3月11日に、全日本民主医療機関連合会・通称民医連が発表した、国保料を滞納して無保険になるなどの理由で、昨年1年間に33人が死亡、保険証を持ちながら経済的理由で死亡した人が10人いた、という調査結果を発表した記事が、翌12日の各社一般紙に一斉掲載されました。
 憲法25条1項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と保障を明記し、第U項では、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と国の責任を明記しています。
 人は貧困に陥っても、病気になっても、失業しても、障害を負っても、高齢になっても、どのような状態になっても生きる権利があり、健康で文化的な最低限度の生活を権利として保障する制度が、社会保障であるはずです。ところが現実は保険制度が生存権を脅かし、医療を受けるという権利の侵害を行い、結果国民を死亡に至らしめる最悪の状態が起こっています。
  何が原因なのでしょうか? 厚労省の国保収納率向上アドバイザーの小金丸氏が国保新聞の紙上で次のように語っています。
 「国保は社会的弱者が多いという最ももろい体なのに、最も重い負担になっているという矛盾が最初からあった。そもそも、担当者がこれほどにも収納率の維持向上に血道を上げざるを得ないこと自体が社会福祉の制度として、どこかに欠陥があることを物語っている」その欠陥とは何でしょう? 国は国庫負担を削り、国民には払える能力以上の保健税負担を押しつけてきたことが最大の欠陥であり、ここまで制度を崩壊してしまった原因ではないででしょうか。
 大野城市は国保会計に対し一般会計から多額の繰入金をおこなっていますが、果たして国保財政は維持できるのでしょうか。
  国民皆保険制度の原点に立ち、何が問題なのか、どうしてそうなるのか、どうしたら解決できるのか考えたいと思います。
 最後に住宅リフォーム助成制度について質問します。
  地域経済が疲弊する中、地場中小零細業者の仕事づくり、仕事起こしの制度として生産誘発効果・経済波及効果・就業者誘発効果が期待できる制度であり、多くの実施自治体でその結果が報告されています。住民が地元業者に依頼して住宅リフォームを行った場合に経費の一部を自治体が助成する事により、住民の住宅環境の改善と中小零細業者へのリフォーム工事の喚起を促すもので、県内では昨年、筑後市が実施し生産誘発効果は、予算の12.8倍にも及んでいます。筑紫地区では、4月から筑紫野市で実施をすると聞いています。私は過去7年間、毎年この住宅リフォーム助成制度の実施を求める質問を続けてきましたが、未だに実施に至っていません。
 本市の見解を伺います。 
  まず学習団体についての(1)登録要件 (2)登録団体の現状 (3)今後の展望について回答を願います。
 以上で壇上からの発言を終わり、後は自席より質問を続けます。

【再質問】
T.○登録要件に記載されていない承諾書は合法か?
   ○団体登録の抑制ではないのか   チェックシートの存在
   ○学習団体の健全育成の見解  
(同和問題研修会や講演会にこだわり過ぎ)
U.○確認 社会保険の制度とは何か?  助け合いの制度とは?
    昭和13年の国民健康保険法は相互扶助
    昭和34年の改正国保法(国民皆保険制度)社会保障
   ○国庫負担率の判断基準  総医療費・保険給付費・
    一般会計からの繰り入れは今後どうなるのか?
   ○国に対する要求は?  国保税の値下げ(払える額)
    制度維持のために被保険者の命をないがしろにしていないか
    国民皆保険制度は何のために制度化されたのか
V.○住宅リフォーム助成制度の真の効果は認識しているか
  2003年当時の生活環境部長答弁で、大野城市ではこの助成制度で経済波及効果はない、と明言されたが今も同感か
  明確な数値で表せる経済波及効果を生んだ施策は何か?
  「先手・先取の対応」は筑紫野市に先立たれて失敗か
  制度の導入の考えは

【市長答弁】 3つの質問の総括回答
【まとめ】
市民の要求に全て応える事が困難であることは重々理解します。
選択と集中の気概を持って市政運営を行ってあると思いますが、 時には、国へ大声と拳をあげるだけの覚悟も必要ではないでしょうか。また、市民への説明は真摯に、そして丁寧に行わなければならないと思います。
  今回の質問は、施政方針の結びにある「行政は、市民のためにあり、市政は、市民福祉の増進を希求するものでなければならない」という明確な意志と使命感を持つ。という言葉ですぐ解決できる内容ではなかったかと思います。
 施政方針が全うできるのであれば、今回の課題も必ず実行できるものと信じます。 
今日は傍聴席にも市民の方がきてありますし、ケーブルテレビでも多くの方が傍聴していると聞いています。
 どうか皆さんの期待に応えて頂きますよう改めて要求致しまして、今回の一般質問を終わります。

 

平成22年度 大野城市後期高齢者医療特別会計予算について反対討論

 

 第32号議案 平成22年度 大野城市後期高齢者医療特別会計予算について 反対討論を行います。
 2008年4月から始まった後期高齢者医療制度は、発足当初から国民の激しい怒りを受ける制度として強行されたものです。
 高齢者を他の年齢層から切り離し、高い負担と安上がりの差別医療を押しつけるこの制度は、「なぜ、高齢者だけ健保や国保から追い出すのか」「これは差別ではないか」という批判が起こる中、保険料の「年金天引き」という負担増制度も行い、年金・介護制度の改悪や高齢者増税への不安と怒りを呼び起こしました。
 また、それまで老人保険制度に加入していた65歳から74歳までの障害者が、強制的に後期高齢者医療制度入れられ、加入を拒むと自治体の医療費助成まで受けられなくなる問題も発生しました。
 現役世代の組合健保や政管健保(現協会けんぽ)が拠出する「後期高齢者支援金」は従来の老人保健拠出金より増額され、多くの健保で、保険料の値上げや組合解散など、労働者への犠牲を転嫁される事態も起きました。 国中の批判を浴び2008年6月には、共産・民主・社民・国民新の4党提出の廃止法案が、参議院で可決され、2009年8月の政権交代への原動力になったのは言うまでもありません。ところが、新政権は、後期高齢者医療制度の廃止を、4年後に先送りにしようとしています。更に現行制度の弊害を極力解消する、と言いながら保険料改定による保険料の値上げがそのまま実行されようとしています。福岡県広域連合が発表した案では、現行より3550円(4.94%)増となり、平均保険料は年間75,401円となります。保険料は2年ごとに改定され、「後期高齢者」の人口増給付費増に応じて自動的に引き上げられます。
 公的医療保険は、国と事業主の責任で、全ての国民・労働者に必要な医療を保障するための制度です。
 手厚い医療を受けたいのであれば、負担増を我慢しろ。負担増の耐えられないなら、不十分な医療で我慢しろ、では民間保険と何ら変わらず、お金のない人は医療を受けられなくなります。
 厚労省が考えている「新しい高齢者医療制度」なるものも、高齢者の年齢を、65歳に下げ現役世代と別勘定の国保に強制加入させ、保険料も財政も別建てで、65歳以上の人は健保の扶養家族になることも認めない、という現行制度と何ら変わらないものです。
これでは、差別・給付削減・負担増の仕組みを、75歳以上から65歳以上に拡大しただけと言わざるを得ません。
 後期高齢者医療制度廃止は、新政権の公約であった筈です。「不毛で危険をはらんでいる」新制度論議は直ちにやめ、まず老人保険制度に戻すという公約に立ち返るべきです。
  以上の理由から第32号議案に反対であります。

 

永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する請願にたいし
反対の立場の討論

 

 請願第1号 永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する請願にたいし 反対の立場の討論を行います。
 永住外国人に対する地方参政権付与に賛成する理由としてまず 3点示します。
  第1は、憲法に明記されている、地方自治の精神という観点です。 憲法には「地方自治の本旨」という言葉がありますが、これは、その地方にかかわる問題は、その地域に居住する住民の意思によって決められるべきであり、その意思は、地方自治体と議会を通じて実現する、という原則です。
 第2は、外国人に対して地方参政権を付与することは、世界の趨勢であり時代の要請になっている、ということです。
 現在OECD加盟国30カ国中26カ国が、何らかの形で外国人参政権を与えていて、その内EU加盟国は21カ国です。
 このことは、地方参政権の外国人付与が基本的人権の柱の一つとして広く認識されつつあることを示しています。
 日本国憲法の前文には、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたい。」という精神が明記されていますが、これを具体化するものだといえます。
 第3は、日本特有の歴史問題があるということです。
  戦前、日本の植民地支配により一方的に「日本人」とされ、戦後国籍を選択する権利を与えないまま再び一方的に「日本国籍」を喪失させられた、朝鮮・中国の人々への日本の過去の行為と切り離せない問題があるからです。特別永住者の「韓国・朝鮮」問題は、国の支持・不支持に直結していない事も配慮する必要があります。
 戦前、朝鮮半島出身者はすべて朝鮮人と呼ばれていました。1948年朝鮮半島の南に韓国が誕生し、北には北朝鮮が成立しますが多くの人は朝鮮のままとしていました。
  1965年日韓条約締結後日本は、韓国だけを国家と承認したため、多くの在日朝鮮人の人々は「韓国籍」を取得しましたが、朝鮮のまま残った人々は、在日朝鮮人として、外国人登録証に「朝鮮」と示されています。
 この朝鮮という記載は、出身地を示す用語で、いずれかの国の支持・不支持に直結している訳ではない、とされています。
 さて賛成の論点を少し詳しく述べます。
1995年の最高裁判決で、外国人への地方選挙参政権付与が、憲法判断されましたが、判決は「憲法第93条に明記されている、住民とは日本国籍を持つ日本国民であり、外国人に地方参政権を保障したものではない。」というもので原告敗訴でした。
しかし同時に最高裁は、3つの点を指摘しています。
1.地方行政は、住民の意志によって運営されるのが憲法上の制度
2.地方行政と特段に緊密な関係を持つ外国人にたいし、選挙権を与えることは憲法上禁止されない。
3.永住外国人に選挙権を与えるかどうかは国の立法政策の問題
これを、「傍論」であるとする意見がありますが、裁判で争われた中心点は、「永住外国人に地方参政権を与えないのは、憲法違反ではないのか」というものでした。最高裁は「参政権を与えないのは憲法違反ではないが、参政権を付与しても憲法上禁止さてはいない、それは国政の課題である」と、上告人の問題意識をかみ合わせ判決を導く為の論点にしていることに、重要性があります。最高裁は立法府に問題を提起した事を意味するものです。
また国益や安全保障に関して、組織的に政治に影響を与える恐れについてでありますが、一般永住者であれ、特別永住者であれ、社会的・経済的背景と条件の下で日本に永住した人たちが、その地域に職を求めて居を定めて生活している人たちが、組織的な意図と、政治的意図を持って移動するなどという発想は、排外主義にはかなりません。 外国人の場合居住地の移転登録は極めて厳格になっています。登録の義務違反は、外国人登録法により罰金・禁固・懲役などの刑事罰が科せられます。日本人の登録義務違反は、住民基本台帳法違反で過料の行政罰しか課せられません。
 憲法15条の「国民固有の権利」についての考えですが。
この固有の権利とは、「国民にしか与えてはならない権利」を意味するものでなく、「国民から奪ってはならない、他人に譲ってはならない権利」と解釈するべきであり、この条文で外国人に参政権を与えてはならない、と解釈するべきでないと考えます。
外国に住んでいる日本人に対する地方参政権はどうなっているでしょうか?
冒頭で述べたように、地方参政権は住民に属するもので、国政参政権は国民に属するもの、と区別するものだと考えます。
こうした傾向は、世界の先進国ではほぼ共通しています。
外国に在住する自国民に対しては、地方参政権は認めていませんが、
国政参政権は認めているのが、ほとんどです。
日本も同様で、外国に住んでいる日本人は自治体レベルの選挙権はありませんが、国政は、200年から比例代表選挙での投票、2007年からは小選挙区でも投票が行使できるようになっています。
これは、国政は住民かどうかが問題ではなく、国籍要件が関係するからです。反対に地方自治への参政権は、国籍でなく住民かどうかが参政権の判断基準になっている証です。
以上の論点からも、永住外国人への地方参政権付与は実施すべきと考えます。最後に、大野城市内に住む永住外国人の方々も、これから大野城市が構築していく、新コミュニティー構想でのまちづくりには、積極的に参加をして頂きたいと思います。それは外国人であっても、市民として、住民として地域づくりの共助に多くの人が参加することに意義があるからです。しかしその背景に住民自治の基本である地方参政権、地方政治への参加を排除するのは大きな矛盾を持つと思います。
 以上の理由から、請願第1号には反対です。