2009年11月臨時議会

大野城市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の
制定について、反対の立場での討論

 

 13番。日本共産党、松下真一です。
 第72号議案、大野城市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について、反対の立場での討論を行います。
  本件は去る8月11日に人事院が発表した「公務員の給与改定の勧告」及び8月25日に閣議決定された「公務員の給与改定に関する取扱について」に基づく、一般職の国家公務員の給与改定に準じて
大野城市職員の特別給を0.35月引き下げ、また月例給については、俸給表の引き下げ改定を0.2%とするもので職員の年間給与は平均で2.4% 15万4千円の引き下げとなる、過去前例がないほどの厳しい内容になっています。
人事院は今回の給与改定勧告の理由を、総裁談話として以下のように語って います。一部を抜粋しますと、「本年は、厳しい経済・雇用情勢が民間の給与に反映された事を受けて、公務と民間の給与比較において、月例給・特別給のいずれも公務が民間を上回っていることが明らかになりました。
公務員が高い士気の下、誇りを持って職務を遂行していくには、その前提として、公務員に対する国民の信頼が不可欠であります。
公務員の給与を、人事院勧告により、情勢適応の原則に基づき、経済・雇用情勢等を反映して決定される民間の給与に準拠して決定することは、国民の理解を得られる適正な給与水準を確保するものとして定着しており、全国の職員の努力や実績に的確に報いるとともに、行政運営の安定に資するものであります。国民各位におかれましては、人事院が行う勧告の意義と、行政各部において、それぞれの職務を通じ国民生活を支えている多くの公務員がいることに深いご理解を賜りたいと存じます」という内容です。
  この総裁談話には「民間で働く人たちが苦しいから公務員も同じように給与を減らします、しかし国民の生活を支える公務員の努力をご理解ください」
という単純な理論が見え隠れするように感じます。
  そもそも公務員の給与削減の根本は、2002年に小泉内閣が打ち出した「総人件費抑制」政策を、本来中立であるべき人事院にも押しつけれれ、国家公務員の労働基本権を制約する代償措置とはとうてい言えない勧告を出している事に問題があります。
本年6月議会で、夏の期末手当の引き下げの条例改正について、今の経済情勢は内需をどう拡大するのか、消費を増やすためにどうするのかが問われており、「臨時勧告」により全国で600万人の労働者が影響を受け、尚かつ民間の一時金引き下げの口実に使われれば、きわめて重大な事態を招き兼ねないことを指摘しましたが、現に政府は11月20日に11月月例経済報告で、2006年6月以来3年5ヶ月ぶりにデフレ宣言を出しています。
  白川日銀総裁は今回の経済状況について、金融政策だけでは限界があり、物価下落の原因は需要の弱さの結果でありその対策には、設備投資、個人消費が拡大する環境を整える事が不可欠である、と指摘をしています。背景には夏のボーナスの下げ率が過去最大になり、値下げで利益が圧縮され赤字になる企業も見られ、人件費の削減による従業員の所得減少は、住宅ローンの返済条件の変更相談が増加する等業界や市民の悲鳴が聞こえてきます。
  本市も、人事院勧告を遵守し職員の給与を削減する条例の改正を提起されていますが、経済状況全体を冷静に鑑みて人件費の削減が、市民生活の安定や、
市内業者への支援策に寄与できるのか真剣に判断すべきではないでしょうか。
  人事院勧告の内容そのものの検証もしないで、ただ単に民間と公務の給与格差を調整するだけの議論は危険すぎると考えます。
地方分権が叫ばれる今、大野城市に合った最適な判断を要求される時期ではないでしょうか。
  以上の理由から、第72号議案、大野城市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について反対であります。