2009年9月議会
一般質問
 

○13番(松下真一) 13番、日本共産党の松下真一です。
 本日最後の質問となりました。どうぞ最後までおつき合いを願います。
 私は、9月定例議会におきまして、一つ、7月豪雨災害の教訓と課題、二つ、ワクチンの公費負担についての質問をいたします。

 まず、7月の豪雨災害の教訓と課題についてでありますが、この問題は市民の皆さんの感心も非常に高く、ゆえに多くの議員からの関連質問がなされております。
 近年の大雨による災害の特徴は、梅雨の長雨型から集中豪雨型へ変化し、予期せぬ被害発生に変化しているように思えます。
 本市で発生した豪雨災害は、古くは昭和48年(1973年)7月、1999年6月29日、2003年7月19日、そして今回と、大きな被害が数回発生しております。市はそのたびに災害の復旧や被災者への支援、今後の防災対策を講じてきてありますが、それでも自然災害を未然に防ぐには、人間の力は微力であり限界もあります。
 しかしながら、過去の災害を教訓として被害を少しでも最小限度に抑えることは可能であります。7月31日付の西日本新聞でも、博多と天神地区の浸水対策で被害の明暗がはっきりとあらわれていることが報道されています。博多駅地区周辺の被害が比較的少なかったのは、過去の教訓を生かし、県の御笠川改修事業とともに、山王公園地下に設けた山王雨水調整池が威力を発揮した半面、天神地区の浸水対策は大きくおくれたために床上・床下浸水や道路の冠水という典型的な都市型災害が発生してしまっています。
 今回本市では、7月24日から26日まで3日間に及ぶ集中豪雨により特に山間部の土砂災害、道路損壊及び冠水の被害が出ております。市内中心部の道路冠水は豪雨といわなくても頻繁に発生する地区もあり、住民の皆さんの不満も聞かれております。今後の市民生活の安全、安心計画を推進する上で防災面、罹災者支援面で何を課題とすべきかを問い、その解決策を考えるものであります。

 次に、ワクチンの公費負担について質問をします。
 自然災害と同様に市民生活を脅かす要因の一つに病気があります。生涯のうちに何回も罹患しても自己免疫力で回復するものもあれば、たった1回で命を落としてしまう危険な病気さえあります。そんな病気に対しての予防は、自己管理とワクチンの接種があります。予防接種法により公費でのワクチン接種もありますが、自己負担での接種を余儀なくされているものも多数あるのが現状であります。
 今回は、新型インフルエンザワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンの3点を質問項目として上げました。
 新型インフルエンザ問題は、市長の所信表明でも発言されていますように、今や喫緊の重要課題であります。厚生労働省は10月9日に59万人分の国産ワクチンの初出荷を行い、接種の優先順位を発表しましたが、実際のワクチン接種は10月下旬から始まり、一般の人が接種できるのは年明けからで、しかも有料になります。ことしの流行は果たして予防することができるでありましょうか。
 ヒブワクチンは、5歳未満の子供が感染するといわれる細菌性髄膜炎に非常に効果があるといわれるワクチンです。欧米では1990年代からワクチンが導入され、WHOも推奨し2008年にはアジア、アフリカを含む110カ国以上で使用されるようになりました。日本では2008年12月にやっと接種の承認がおりましたが、1回の接種費用は七、八千円もかかり、ワクチンの効果が最も高いとされるゼロ歳児の接種は4回が必要で、3万円前後の負担がかかります。
 肺炎球菌ワクチンは、2005年3月議会と2008年6月議会に他の会派の議員から質問をされておりますが、いずれも「他の市町村の動向を見きわめながら必要かどうか判断していきたいと考える」という回答で、非常に消極的であります。高齢者や体力が弱っている人が感染すると肺炎は死に至る原因にもなります。
 ワクチンの公費負担が、先取先手の施策になぜ盛り込まれないのか、その真意を伺います。
 まず大きな1番、7月豪雨災害の教訓と課題の中の(1)避難基準について。@避難勧告や避難誘導の発令基準、A今回の措置はどうだったのか、B避難所での対応は十分であったか、以上3点について回答を願います。
 以上で壇上での質問を終わり、後は自席より続けます。

○議長(永野義人)
 環境生活部長。

○環境生活部長(岸本 健)
 避難勧告や避難指導の発令基準について、まずご回答申し上げます。
 地域防災計画にも記載しておりますけれども、災害対策基本法に基づき緊急避難の必要を認めたときに発令するということになっております。御笠川周辺につきましては水位や累積雨量、被害発生の状況、今後の気象状況等を参考に総合的に判断して発令することとしております。土砂災害につきましては、土砂災害警戒情報が発せられ、巡回中の職員や消防団が現地の状況に危険箇所を発見したときに発令することとしております。
 次に、今回の措置はどうだったかということに対してご回答申し上げます。
 中区の一部に避難勧告を発令しましたが、土砂災害警戒情報も出ておりまして、現地の一部がけ崩れなどの状況や累積雨量などから判断し、生命や身体を災害から守るためには適切な発令だったと考えております。当該地区は土砂災害警戒区域にも入っておりまして、避難勧告発令の判断のおくれによる人災を防ぐためには、早目の避難勧告が必要であったというふうに考えております。
 避難所での対応は十分であったかというご質問でございます。対策本部におきましては、夕食や朝食として弁当やおにぎり、お茶などを配付いたしましたが、炊き出しで温かい物を提供するところまでには至りませんでした。昼食については中区の皆さんのご協力により炊き出しが行われておりまして、温かい物が提供されております。避難所での対応につきましては、災害の規模により避難者の人数、避難の期間などいろいろな状況を踏まえ、必要に応じて関係機関や自主防災組織への協力要請も行い、食事や寝具など季節も考慮した対応に努めていきたいというふうに考えております。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 それでは、具体的に質問を続けさせていただきますが、昨年、2008年10月に消防庁が行った調査、これは1,810の市町村で調査を行った結果でありますけれども、具体的な発令基準策定率が6割未満という報道がされています。大野城市では、先ほどの部長の話では危険な箇所を発見したときに発令をするということでありましたけれども、具体的な発令基準、そういう策定基準というものは大野城市にはないんでしょうか。

○議長(永野義人) 環境生活部長。

○環境生活部長(岸本 健) まず、川の関係につきましては、御笠川につきましては県のほうで、うちのほうでも独自に警戒水位とかそういうふうな、いろいろ現地のほうに目印をつけまして、その水位の状況を見ながら警戒に当たったり、水防ダムの待機水位を決めておったりしているんですけれども、県のほうからも判断危険水位とか判断注意水位とか、いろいろな段階で連絡・通報が当然ありますし、私どもも常にインターネットとかいろいろな情報で必ず河川の水位の状況を把握しております。
 それと土砂災害につきましては、気象庁のほうが最近の土砂災害等も考慮いたしまして土砂警戒情報というのを発令するようになっておりますので、それを参考に現地の状況も確認しながら判断しておりますけれども、今後は今回の災害の状況も十分踏まえながら、それと他市の取り組みの状況等も参考にしながら、発令基準の策定について検討していきたいというふうに考えております。以上です。

○議長(永野義人) 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 やはり明文化した基準というものをしっかり持っておかないといけないと思うんですね。
 というのが、今回牛頸キャンプ場やダム周辺公園、この利用者90名が一時孤立してしまいました。これは土砂災害が理由でありますけれども、なぜこの利用者の人たち、キャンプ場の利用者なんかは特にそうですが、連絡がとれるはずなんですけれども、なぜ勧告もしくは避難誘導をしなかったのか、どういったことが考えられますでしょうか。

○議長(永野義人)
 環境生活部長。

○環境生活部長(岸本 健)
 キャンプ場につきましては、施設管理者のほうから、警報が発令されたときに施設から退去するよう勧告は出されております。利用者におかれましては日程を調整して来場されておりまして、退去の勧告に従わないといいますか、せっかく来たんだからというふうなことでそこにとどまっておられたというふうなところもございます。
 26日でございますけれども、施設管理者からは雨が強くなった午前8時半ごろに利用者に対して施設から退去するよう勧告がなされております。車両18台、人数約100人は水辺公園までおりられましたが、そこから下は土砂崩れにより行けず取り残されたと。4台、約10人はキャンプ場におられたような状況でございます。上下水道局の職員、それと公園担当職員が現地の災害状況を確認し、土木業者に仮復旧の指示をし、九電柱が倒れたことや土砂崩れにより道路通行ができるようになるまで時間を要しておりますけども、午後5時ごろには水辺公園から帰宅できるように、また午後6時ごろにはキャンプ場から帰宅できるように復旧に努めたところでございます。天候が回復したことにより、一部の利用者には宿泊の希望がございましたが、ダム周回道路の土砂崩れもまた考えられるところでございますので説得して帰宅していただいたと。午後7時ごろには施設からの退去がすべて完了したというような状況になっております。
 キャンプ場利用者については、今後とも安全第一、人命第一を十分考慮しながら、施設管理者と所管課のほうとも十分その辺を注意しながら、利用の制限じゃないですけれどもどこまでできるか、十分その辺を検討して、まず安全第一の確保に努めていきたいというふうに考えております。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 今回、人命に対しての事故というのがここで起きなかったからよかったんですけれども、もしだれか亡くなったりけがをしたりしていたら大変なことになりますので、ぜひ明文化までするように今後検討していただきたいと思います。
それから、中地区の避難勧告ですけれども、先ほど壇上で言いましたが、昭和48年の災害、これは市長の所信表明の中でも確かお話をされたぐらい大変な災害だったというふうに聞いておりますが、それから後、中地区では避難勧告というのは出されたことがあるんでしょうか。
○議長(永野義人) 環境生活部長。
○環境生活部長(岸本 健) 中地区につきましては、その後勧告を出したことはございません。ことしの災害につきましては、また再度避難勧告を出させていただきましたけれども、その間はございません。以上です。
○議長(永野義人) 13番、松下議員。
○13番(松下真一) 今回の質疑の中では関係のないことでの話が耳に入りましたので、これはまた別に質問したいと思いますけれども、危ないから避難勧告を出したんだろう、要するに中地区の周辺が危険だからということで避難勧告を出したんであると。今まではなかったのに今回はなぜ出したんだろうという、そういう疑問視する声が出ていましたので、これについてはまた別の機会に質問したいと思います。
 それから、避難所の状況ですけれども、弁当もしくはおにぎりということでありますけれども、今回は夏だったからそれでよかったんですが、冬の場合は非常に寒いし、毛布だけ1枚もらってもフロアにじかに寝る場合、非常に腰や肩が痛かったという声も聞きました。夏の場合と冬の場合と、こういう避難所での対応というのがやはり変わってくるものなのでしょうか。

○議長(永野義人)
 環境生活部長。

○環境生活部長(岸本 健)
 当然、季節に配慮した避難所の対応、例えば冬であれば当然防寒面も十分考えながら布団の用意をするとか、とにかく季節に応じた避難所の対応はしていきたいというふうに考えております。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 先ほど、午前中でもありましたけれども、被災者の声、住民の声というものを反映した対応策というものを考えていただくようにお願いをいたします。
2番目の防災環境アセスメントについてでありますけれども、@の排水路の整備状況、特に今回御笠川4丁目と乙金東地区、このことについて質問しておりますが、乙金東地区は坂が多い地区であります。その地区での排水路、特に側溝の整備については今後何か考えてありますでしょうか。

○議長(永野義人)
 建設部長。

○建設部長(高原順治)
 乙金東地区につきましても、大野城市の他の地区と同様に、老朽化した側溝を道路改良にあわせまして順次側溝の改良を行っていきたいというふうに考えております。以上でございます。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 坂の地区でありますので、午前中にもお話がありましたが、道路が川みたいになってしまうという、そういう状況が起きます。だから優先順位を決めてあるということですけれども、特に乙金東地区を早急に指定として整備を行っていただきたいと思います。
 それから、御笠川4丁目なんですけれども、これは赤坂公園の周辺のところです。これは国道3号線と県道水城下臼井線とのちょうど中間に当たるところでありますけれども、ここがすり鉢状みたいになって水が非常にたまりやすい。そこの排水がどうなっているのかという苦情がよく聞かれるんですけれども、排水についてはどういう状況になっているんでしょうか。

○議長(永野義人)
 建設部長。

○建設部長(高原順治) ご指摘の御笠川4丁目、赤坂公園付近ということで、ご承知のとおりあの区域につきましては御笠川東部土地区画整理事業で整備されたところでございまして、基本的にはあの一帯については最終的には御笠川に放流されるということで、参考までに前のいろいろな議員さんからもご質問がありましたとおり、堤防からの溢水はなかったけれども御笠川の水位が上昇したというのが今回の冠水につながってきたのではなかろうかというふうに考えております。以上でございます。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 これは、Bの国道、県道、市道の連結地区の整備についてということと関連する質問でありますけれども、国道3号線は国、下臼井線は県、赤坂公園地区は市道ですので大野城市ということで、どこが主体的になって整備を進めていくのか、そういうところはきちんと話し合いというのはされているんでしょうか。それともどこかがするだろうという責任のたらい回しみたいな状況になっているんでありましょうか。

○議長(永野義人)
 建設部長。

○建設部長(高原順治)
 ご承知のとおり、国道、県道、市道の整備につきましては、国道は国、もちろん県道は県、市道は市においてそれぞれ整備を行っております。また管理につきましてもそれぞれが行っているところでございます。現在、国道、県道、市道が交差する箇所につきましては、その道路整備にあわせて排水路や道路側溝の整備をする場合においては、整備する事業主体が関係する機関と申しますか、国、県、市と協議を行いながら、雨水整備計画に適合するような方向で改修を行っておるというのが実情でございます。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 どれも有効的な対策が感じられるような回答が得られないんですね。
 12番議員さんが午前中に言ってありましたけれども、山王地区のレインボープラン、壇上でも言いましたが、山王の雨水調整池というのは非常に効果を発揮したというふうに言われております。建設費も私が入手した資料によりますと、期間が平成16年から平成18年の約3カ年事業で費用は26億円なんですね。だから、そんなに高額で絶対無理だというような事業じゃないんじゃないかなと思うんですけれども。
 御笠川周辺地域とも話し合いをして、これから先はこういう調整池、もしくは立抗で穴を掘って、そこに一たんためてポンプで上げるという、そういうことが必要じゃないかなと思うんですけれども、そういう計画について今後どういうふうに思われているのか、どちらの課かわかりませんけれども回答をお願いします。

○議長(永野義人)
 上下水道局長。

○上下水道局長(平井誠二)
 雨水事業の幹線については、上下水道局でやっております。それで12番議員さんのときにも話しましたとおり、大規模な貯留施設、今大野城市が雨水事業としてやっておりますのが5年確率から10年確率に見直しをして、その5年でよかったのが10年で断面的には不足するという事業を進んでやっております。ですから、今言われました山王公園で26億円かかるということは、大野城市の財源的には、雨水事業としては途方もない金額でございますので、そこのところをどうかご理解のほど、よろしくお願いいたします。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 最初からできないんだという、そういう気構えであったら何もできないんですよね。でもどこかにその突破口があるんじゃないか、どこかにそれが見つかるんじゃないかということを考えてもらいたいというのが、今回私が「教訓と課題」というふうに出したのがそこなんですよね。だから今回は無理だとしても、周辺の自治体と協力をしたり国や県と協議しながら、これから先はこういう雨水事業というのは絶対必要だということを考えていただきたいと思います。
 それから、丘陵地帯の排水の環境整備ですけれども、今回、土砂災害が非常に多かったというのは土地の保水力、これが非常に弱まっているんじゃないかなという気がいたしますが、市有地の場合には市が管理をするでしょう。ところが民有地の場合の土地の保水力、これについての調査や改修の指導、こういうことについて市はどういう対策をとられるんでしょうか。

○議長(永野義人)
 環境生活部長。

○環境生活部長(岸本 健)
 まず、山の関係につきましてはご存じかと思いますけれども、森林環境税を活用した森林の再生事業とか、保安林に指定されているところは保安林に関係する事業で、保水能力を高めるような形も含めた森林の保育・育成という形で取り組んでおります。
 あとは、それ以外のところの個人所有の土地の関係につきましては、個人所有の土地ののり面につきましては、災害対策本部としては今回も取り組みましたけれども、緊急時には2次災害の危険がない場合に、消防団を中心にブルーシートなどのがけ崩れに対する応急処置の対応をしているのが現状でございます。基本的には個人の土地につきましては、所有者が危険な状況に対する対策及び復旧をすることになっているところでございます。本市といたしましては、民地の危険な情報等を入手した場合に現時の状況をお知らせしながら対策等を要請しているのが現状でございます。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 民有地については、無理に「しなさい」と言うことも非常に難しいと思いますが、しかし、土砂災害で泥ならいいんですけれども大きな岩まで落ちてきた場合には、やっぱり下の住民の方は非常に恐怖感を感じてありますので、その点の指導もよろしくお願いいたします。
 次に、3番目の被災者生活再建支援についてでありますけれども、生活支援については被災者生活再建支援制度というのがあります。これは国の制度でありますけれども、やっと国がこの制度によって住宅本体の改修や修繕も対象になったというふうに聞いておりますが、大野城市でもし災害があった場合に、家屋本体の修繕、修復、これを対象にできる制度というふうになっている、改修をすることができるというふうになっているのかどうか、その件について大野城市はどういうふうに理解をしてあるんでしょうか。

○議長(永野義人)
 環境生活部長。

○環境生活部長(岸本 健)
 被災者の生活再建支援制度の件でございますけれども、国の被災者生活再建支援制度につきましては、まず一つが、制度の対象となる自然災害につきましては災害救助法施行令第1条第1項第1号、または第2号に該当する被害が発生した市町村というふうな形になっております。この支援制度では災害により住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支援金が支給されまして、住宅の建設や補修に利用が可能となる制度となっております。この被災者生活再建支援制度の適用につきましては、先ほど申し上げました災害救助法の適用市町村のみが対象となります。福岡県では今回の災害につきましては、飯塚市のみ対象になっているようでございます。
 支援金の支給額の制度の中身をちょっと見てみますと、住宅の被害程度に応じて決まっているんですけれども、全壊に対しては100万円、長期避難に対しては100万円、大規模半壊については50万円。それともう一つ、住宅の再建方法に応じて支給する支援金というのがございます。これは住宅の再建方法のあり方が三つございます。建設、購入する場合、補修する場合、それと賃借する場合というのがございます。建設、購入する場合は200万円、補修する場合は100万円、賃借の場合は50万円というような形で、加算支援金が考えられております。以上でございます。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 災害救助法施行令、これで見てみますと、市町村に関係あるのは10世帯以上の住宅の全壊災害が出た場合ということでその指定を受けるわけでありますが、今回大野城市のように10世帯までそういった被害が出なかった場合、災害を受けながらこの支援法は適用できないということであれば、大野城市が何とかこれに準用するような形で支援をしてもいいんじゃないかなというふうに考えますけれども、将来的にそういうことも視野に入れての考えはないのかどうか。

○議長(永野義人)
 環境生活部長。

○環境生活部長(岸本 健)
 現時点では考えておりません。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 ぜひ考えてください。お願いします。
 次に、2番目の中小商工業者、零細業者についての事業の再建でありますが、災害を受けた場合、事業者が一番困るのはローンもしくは毎月払っていく支払いなんですけれども、この緊急融資やローン返済の軽減策、こういうものに対してどういうふうな支援策というものが大野城市にはあるんでしょうか。

○議長(永野義人)
 環境生活部長。

○環境生活部長(岸本 健)
 大野城市の中小企業の方々への支援につきましては、中小企業の融資制度がございます。その中に災害の場合も盛り込んでおりますので、現在はそれで対応させていただいているというのが実状でございます。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 融資制度というのがありますけれども、やはり申請から決定、そして融資まで非常に時間がかかるんですよね。現制度ではなかなか対応ができない、対応が遅いんじゃないかなという気がしますので、今の制度をもう少し踏み込んだ支援策にしていただけるように、今後の検討課題として考えていただきたいというふうに考えます。
 もう一つが、税金等の減免や徴収の猶予なんですけれども、大野城市の市税減免取扱規則、これの第3条(4)に市民税の減免で災害についてのことが書いてあります。第6条(2)、これは国民健康保険税の災害についての減免基準、取扱規則が書いてありますけれども、実際この規則はありますが今回みたいに災害があった場合、過去何回か災害があっていますが、現実に適用を受けられた市民、そういう被災者はいるんでしょうか。

○議長(永野義人)
 総務部長。

○総務部長(蜷」一幸)
 税の関係をお答えいたします。
 今、議員さんがおっしゃいましたとおり、税金の減免と徴収猶予等でございますが、これにつきましては市税条令と市税減免取扱規則、これに基づいて行っているところでございます。
 今回の災害につきましては、固定資産税の関係で現在3件申請が出ているところでございます。市民税のほうについてはございません。
 それから、徴収猶予の関係でございますが、これは地方税法第15条の規定に基づいて、災害等により被災者の方が納付困難となった場合に一定期間徴収を猶予するという制度でございますが、これも現在のところ申請、問い合わせ等はあっておりません。

○議長(永野義人)
 福祉高齢部長。

○福祉高齢部長(秋吉正一)
 国民健康保険税についてお答えします。
 今回の災害についての減免を適用したかということでありますが、今回の災害で対象者は4名おられましたけれども、いずれも災害での減免の申請は行っておりません。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 市税関係、それから国保も、対象者がいながら申請がされていないというのはどういう理由なんでしょうか。もし回答されるのであれば、お聞かせ願いたいと思いますが。

○議長(永野義人)
 総務部長。

○総務部長(蜷」一幸)
 先ほども申しましたように、市税のうちの固定資産税につきましては申請がなされております。3名でございます。それから市民税のほうはございませんということでございます。

○議長(永野義人)
 福祉高齢部長。

○福祉高齢部長(秋吉正一)
 実際、災害に遭われたところは、保険金とか損害賠償金などにより補てんを受けられた方については減免の適用ができなくなっております。そういったものもあわせたところで実際申請されなかったと。周知については広報等で周知しているんですけれども実際に適用されなかったということで認識しております。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 やっぱり保険金の支払いがされればそれから適用外になるという、それが理由だと想像したとおりなんですが、御笠川4丁目で水害に遭った方も市には苦情を言いたいんですけれども、「保険で補てんされるでしょう」というふうなことをやっぱり言われるみたいなんですね。それは自分で掛金を掛けた保険で災害の補てんをされるということで、そのことが理由で市税とか国保税とかの免除ができないというのは納得できないなという、そういう話もあるんですよね。
 ちょっと話はずれるんですけれども、西日本新聞で国民健康保険法第44条、これは医療費の窓口負担のことなんですが、これも減免制度があるけれども形骸化している、要するに何の利用もされていない、条文だけはあるけれども実際には適用するのが非常に困難であるという、そういう報道をされるぐらいです。やはり何のために猶予の取扱規則とか、それから条令というものがあるのかということをもう一度考え直してもらいたいなというふうに考えます。
 これ以上は、条令の改正とか規則の改正とかの話になっていきますので、今後そういうことも視野に入れながら住民の支援策ということを考えていただきたいと思います。
 次に、大きな2番のワクチンの公費負担についてでありますけれども、最初にヒブワクチンについて、(1)と(3)は同じ所管での回答になると思いますので、ヒブワクチンについてまず回答を願いたいと思います。

○議長(永野義人)
 こども部長。

○こども部長(中川映一)
 それでは、ご質問のヒブワクチンについてご説明いたします。
 ヒブワクチンは、乳幼児の髄膜炎を起こすインフルエンザ菌b型に有効なワクチンでございます。この菌による髄膜炎の発症は、先ほども言われましたとおり5歳未満の子供たちに多く、10万人当たり8.6人から8.9人の割合であらわれ、日本では年間約600人が発症しているといわれています。年齢的には4カ月以降から5歳未満で発症が見られ、発症のピークは6カ月から11カ月となっています。また、発症患者の15%から30%に視聴覚などの後遺症が残り、2%から5%の方が亡くなられる病気というふうにいわれております。
 平成20年12月より国内でのワクチン接種が可能となりましたが、ワクチンの流通量が十分とはいえず、一般の病院、診療所等では予約制となっているところも多いようです。
 本市においては、公費負担で行っている予防接種は予防接種法にて定められた定期予防接種について行っております。ヒブワクチンは残念ながら現在は法に基づく定期予防接種になっておりませんので、公費負担の必要性は理解しておりますが、本市では現在のところ実施の予定はございません。公費負担については九州内で助成している市町村はまだ少なく、一部助成が数カ所あるようでございます。先進市町の実施状況や、国の動向及び流通量等を見きわめながら検討していきたいと考えております。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 昨年12月15日に福岡県の民主医療連合会が、福岡県にヒブワクチンの公費負担についての要請書を出しているというふうに情報を得たんですけれども、この件についての連絡は県からあっているんでしょうか。

○議長(永野義人)
 こども部長。

○こども部長(中川映一)
 特に県から連絡はございませんでした。ただ、県においても全国の会議の中で要望を行ったということは聞いております。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 ヒブワクチンについては、まだ日本国内では知られていないですね。ただ欧米ではもう20年ぐらい前から非常にワクチンについては研究をされております。ゼロ歳児が特に危険であります。今後ともヒブワクチンについては大野城市でも研究をしていただきたいと思います。
 それから、新型インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンについてですけれども、これについて大野城市はどのような見解を持ってあるんでしょうか。

○議長(永野義人)
 福祉高齢部長。

○福祉高齢部長(秋吉正一)
 まず、新型インフルエンザワクチンについてお答えします。
 新型インフルエンザワクチン接種事業については、10月1日に基本方針が発表されました。接種の目的は、今般発生した新型インフルエンザが季節性と類似性は多いものの、妊婦や基礎疾患を有する者等に重症化する事例が確認されており、その健康被害を最小限とするため、予防接種により死亡者や重症者の発生をできる限り減らすこととしています。
 しかし、ワクチンの生産量には限りがあるため、国が一元的にワクチンを確保し、より必要性が高い者に接種の優先順位を定め、希望者に対して接種を実施します。
 接種の時期については、10月19日から順次接種を開始することとしております。接種スケジュールが示され、最初に医療従事者から始め、妊婦・基礎疾患を有する者、幼児、小学校低学年、1歳未満児等の保護者、小学校高学年、中学生・高校生・高齢者の順番で接種されます。
 その接種費用につきましては、1回目3,600円、2回目2,550円の合計6,150円となります。個人の予防を主たる目的とすることから、実費相当額を個人負担とすることとしています。また、所得の少ない世帯の負担軽減対象者は、市町村民税非課税世帯を対象として軽減措置を行います。
 次に、肺炎球菌ワクチンについてであります。これは何度も申しますように、肺炎は日本人の死亡原因の第4位であり、死亡者の大半を高齢者が占めている病気であります。肺炎の原因は肺炎球菌が最も多く、重症化しやすいといわれております。
 そこで、肺炎球菌ワクチンを接種することで、およそ80種類以上ある肺炎球菌のうち23種類に対応することができることとされております。肺炎球菌ワクチンは1回の接種で23の型の肺炎球菌のほとんどに対応し免疫をつくることができます。その免疫の持続は5年以上とはいわれていますが、一生涯続くものではなく、現在日本では再接種による重篤な副反応の事例を考慮し、予防接種法により生涯1回の接種しか認められておりません。
 最近では、肺炎球菌ワクチンの有効性は認められてきていますが、1回のみの接種ということで、その接種時期を決めることが難しいことや予防接種法においても任意の接種であることから、本市では現時点での肺炎球菌ワクチン接種の公費負担については考えておりません。ただ、県内でワクチン接種に対する公費負担を実施しているところが2市1町ありますので、先例市町の実施状況を確認しながら、福岡市を初めとする県内市町村の動向を見きわめ、検討したいと考えているところであります。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 新型インフルエンザワクチンの具体的なことがどんどん発表されていますけれども、6,150円の自己負担がかかるということですね。
 今の状況、感染力の物すごい強さで、大野城市市内の学校の学年閉鎖とか、学級閉鎖とかどんどん出てきておりますし、重症化までなっていないにしても入院を余儀なくされている方も聞いているんですよね。そういう状況の中で、まだ希望者だけ、任意接種だということで公費の負担をしないし、そうなると接種をするかどうかもわからないという状況になると思うんですね。だからワクチンの接種を促すためにも、全額とはいわなくとも一部の負担をして、なるべく接種をしてくださいということでの予防、こういうことも考えられると思うんですけれども、やはり全く公費負担は、一部負担でも無理なんでしょうか。

○議長(永野義人)
 福祉高齢部長。

○福祉高齢部長(秋吉正一)
 現在のところ、低所得者層、それから生活保護世帯についてはそういう配慮がしてありますので、今のところは国の考え方でやっていこうというふうに思っております。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 季節性のインフルエンザワクチンでも、65歳以上ではあるにしても負担をして1,000円でできるというふうに今の段階でしてあるんですね。今回の新型インフルエンザのように、こんなに感染力が強くて、死亡例はそんなにないにしてもやはり物すごい蔓延をするということを考えると、今のうちに公費の負担をして接種を促すという意味で、そのこともやはり市独自じゃなくても近隣の市町村とも話し合いをしながら進めていってい ただきたいと思います。
肺炎球菌ワクチンについてですれども、この回答は昨年11番議員が質問されたときと全く同じ回答なんですね。それから後、肺炎球菌ワクチンについては内容の精査についての進展が全くないんでしょうか。

○議長(永野義人)
 福祉高齢部長。

○福祉高齢部長(秋吉正一)
 前回のご質問を受けて、私のほうで筑紫地区の状況、それから医師会との関係、そういうものを踏まえてという形で回答を申し上げたんですけれども、今現在は筑紫地区の担当課長会議の中で実際に踏み込んでいこうと、検討していこうというところまできております。だから、ご回答したのは前回と同じような内容だったと思うんですけれども、中身については私のほうとしては一歩前進していると思っております。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 筑紫地区の担当課長会議で進展したと言われるんですけれども、これはことし9月の前半ですが、前半までこれについては話し合いをされていないというふうに聞いているんですよね。本当にこのことについて筑紫地区の担当課長会議で協議をされたんですか。

○議長(永野義人)
 福祉高齢部長。

○福祉高齢部長(秋吉正一)
 これは実際、主管課長のほうから聞いて確認しております。時期的にはそんなに早くはなかったんですけれども、日にちもきちっと確認しておりますし。
 以前は、肺炎球菌の認識の仕方が筑紫地区市町村でばらばらだったし、かなりそこのテーブルにのせること自体が難しかったんですけれども、今は全国で140市町村も実施していますし、任意の予防接種といいながらインフルエンザワクチンともあわせてすることによって相乗効果も認められていますので、その分については筑紫地区でも認識ができてきております。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 4市町の中でそういう話が出たということだけでも本当に進歩だと思いますので、今後ぜひ宗像市や古賀市、篠栗町のように実施がされるように、進展していっていただきたいと強く要望いたします。
 これで全部の質問を終わったんですけれども、通告にしております大見出しの7月豪雨災害の教訓と課題。何を教訓として学んで、今後何を課題として改善をしていこうと思っているのか、これが一番聞きたいことなんですけれども、どなたが答えるかということは多分話し合われていないと思います。今回、今ここで初めて聞くわけでありますけれども、何を教訓として学んで、何を今後の改善策として大野城市として持ってあるのか、そのことを聞きたいと思いますが、どなたでもいいですので回答していただきたいと思います。

○議長(永野義人)
 環境生活部長。

○環境生活部長(岸本 健)
 今度の7月末の災害につきましては、3日間連続して降り続いたということで、24日が主に東地区、25日はそんなになかったんですけれども、26日は南地区も含めた全市的に非常に被害が起きまして、職員の配備体制も第2配備まで行っております。電話の通報件数も四百数十件というふうな形で、今までにない市民からの連絡・通報が殺到したという状況と、あと私たちが対応した状況も踏まえて、8月末に対策本部の検討会議を行っております。そこでいろいろ実際に従事した職員、また対策本部のあり方、また市民からの通報等の処理の対応の状況につきましても、基本に戻って再確認しながら今後の次の段階に生かしていきたいということで、今からその辺を関係部局とも十分打ち合わせをしながら、対策本部でもその辺のところを事務局サイドである程度取りまとめまして、関係部局とも協議して今後どういうふうに生かしていくのかと、その辺の課題項目も整理して今からまとめていきますので、その中で今度の災害を生かして次につなげていきたいというふうに思っております。以上です。

○議長(永野義人)
 13番、松下議員。

○13番(松下真一)
 教訓を教訓として次の課題をまず見つけておいて、それからそれを解決していく、そういうことをやっていっていただきたいと思います。
 最後に一言、お話を聞いていただきたいのが「備えあれば憂いなし」ということわざ。これは本当にポピュラーですけれども、原文でいいますと「危うきを思えばすなわち備えあり」ということであります。この「危うき」とはどんな状況を指しているんでしょうか。またどんな備えをしろと言っているのでありましょうか。ずっと考えますけれども、文章は簡単ですが答えは非常に難しいというふうに私は考えます。
 市長が尊敬をされております上杉鷹山公が取り組んだ「五什組合制度」というのがあります。市長のこの言葉があって、私、ちょっとインターネットで調べてみましたが、非常にいい制度なんですね。この「五什組合」というのは、今でいうと生活セーフネットといえるのではないかと思います。すべてを自己責任にしてしまうような、そういうものとは対極の世界でありまして、ホームレスなどは無縁の世界であるだろうというふうに考えます。当時の米沢藩は愛に満ちた理想郷だったのかもしれませんね。
 また、天明の大飢饉をしのいだ「扶助」と「互助」という逸話もあります。天明2年と3年に相次いで長雨により冷夏となって米作は2割以下に落ち込んだと。その時に鷹山公は陣頭指揮をとって、藩政府はすばやい行動をとって、裕福な者たちも、また貧しい人たちもお互いに助け合って、米沢藩からは1人の餓死者も出さなかったというのが逸話であります。
 ここでの備えというのは、食糧の備蓄ではなく、すばやく行動をとった藩政府の「扶助」、それから近隣同士が助け合うという「互助」の精神だったと思います。この逸話には「自助」という言葉は出ませんけれども、しかし他人を助けるということイコール自分を助けることだというふうに私は考えております。
 鷹山公の言葉に「犠牲者は民の父母であること」というふうに書いてあります。この精神、つまり政治をつかさどる者は人民の父母になりなさい、そういう覚悟をしなさいということでありますけれども、今まで財界や行政が「扶助」と「互助」の精神に立ち返ることがなかった、そういうことを反省して、大野城市でも真の為政者、つまり政治を、また行政をつかさどる者たちのそうした本当の意味での行政を遂行されることを切に要望いたしまして、今回の一般質問を終わります。

○議長(永野義人)
 以上で、本日の議事日程はすべて終了いたしました。
次の会議は、16日午前10時に開きます。
本日は、これをもちまして散会をいたします。
どなたもお疲れさまでございました。

 
平成20年度大野城市一般会計決算認定についての反対討論
 
13番。日本共産党の松下真一です。
 認定第1号。平成20年度大野城市一般会計決算認定についての反対討論を行います。
  小泉構造改革・骨太方針いわゆる「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」により日本経済と地方財政は大きく変革してしまいました。
 国民の中に格差と貧困が広がり、正規雇用の労動者が、非正規雇用に置き換えられ年収200万円以下の「ワーキングプアー」が一千万人を超えて、更に昨年秋以降の経済危機を理由に、解雇、一時帰休が広まりました。産業構造の転換政策によって、中小零細業者の倒産や廃業に拍車が掛かっています。
 貧困をなくし格差を是正するのは、政府と地方自治体の役割であります。
ところが前政府は、社会保障費を圧縮し自治体財政を削減し、政府の所得再配分機能を縮小しました。
 その結果が、新自由主義経済政策を推進してきた OECDでさえ「対日経済審査報告書2006年版」で「日本の相対的貧困率は、今やOECD諸国で最も高い部類に属する」と批判するほどであります。
 大野城市も、構造改革路線の影響は多大に受けているものでありますが、その中でも安定した財政状況を維持できているのは、行政努力の運営がなされている結果である。と監査委員の意見が付されています。
 確かに本市は、フルコスト診断を行い事務事業評価、DOCK事業により大野城市独自の経営システムを構築し、財政の健全化を図っています。
 平成20年度一般会計の実質収支は前年並みの約4億6千万円の黒字であります。
  決算特別委員会の冒頭挨拶で、副市長は「決算は、大野城市行政1年間の成果発表であり、来年度の政策や予算の基準になるものと」という説明をされています。つまり次年度の税金の使い方の基本路線となるわけで、審査は大変重要であります。
 支払われた税金が、市民の為に使われたのか、市民サービスにどれほど還元されたのか、市民の厳しい視線が向けられているものと言えます。
 経常収支比率を見てみますと、80%未満が適正といわれながら93.5%と非常に硬直化が進んでいます。
 全国の自治体でも比率の上昇が見られる、という説明がありますが、景気の悪化で法人市民税が22.5%も減少し、また地方交付税も約4億4千万円13.6%の減少になっている点に大変危惧をしています。
 経常一般財源が減少を続ける中で、経常収支比率の硬直化を抑える為には、経常的経費の抑制が必要になります。公債費の削減は無理とするならば、人件費と扶助費をいかに抑制するかが課題となるはずです。つまりそれは、住民サービスの低下につながる要因になります。
 また次に考えられる手段が、税収の増加です。
 景気悪化の中での地方税の増収策は、徴税強化に進むのは、他の自治体での事例を見れば、本市だけが避けられる理由はありません。
 本市では、納税相談は比較的丁寧にされていますが市税等の滞納を理由に、行政サービスの制限を受ける制度は改善されていません。
 税金とは「福祉社会保障目的税」が基本であり「応能負担原則」でありその根拠は、憲法第13条「個人の尊重と公共の福祉」、第14条「法の下の平等」第25条「国民の生存権と国の生存権保障義務」、第29条「財産権の保障」などにあります。
 「まじめに税金を納めている人との公平性」等の理屈には、地方自治体が担う住民の守り手という発想が欠落してしまいます。
 より細かな住民サービスの提供は、住宅街の側溝整備や乳幼児医療の拡充、保育料の補助、教育への支援、介護者や障害者のいる世帯への支援や援助など地味に映るものほど重要な施策であり、住民満足度につながるものと考えます。
 納税義務「憲法30条」は生存権「憲法25条」を達成するためにあると考えます。
 市民から切実な要求があがるのは、市が市民から期待されている証です。 市民から「どうせ市役所は・・・」と言われないためにも、市民の視線にたった予算の執行が肝要であります。
 今回この認識がもっと必要であった、と考える事から認定第1号。平成20年度大野城市一般会計決算認定について反対であります。