2008年6月議会
妊婦健診助成の拡充と早期実施を求める請願書について
継続審査としたことに対する反対討論
 
 先ほど委員長報告にたいし、2点質問いたしました。

 どのような具体意見が出て、継続審査と判断したのか?回答を伺いましても全く理解できませんでした。(具体的意見が出たのであれば、これ以上何を調査研究をするのかが見えてきません)

(具体的な意見が何もなかったのであれば、異議なしと判断すべきではないか)

 妊婦健診については、3月議会に於いて5番議員が一般質問を行い、市長から5回に増やしてゆく方向で準備を進めていきたいと考えています。という回答をされています。請願者は、市長の回答より、更に確実に5回の健診を実施する事と、拡充する助成金額を具体的にのべ、最後に早期の実施を要望しています。この請願書は、付託先の厚生委員会での審査で、現在の進捗状況や、本市の健診内容、助成金額の違い、等具体的な説明が充分されていました。また厚生委員会での審議のみならず、議会運営委員会でも、担当部長から現在の進捗状況の説明を受ける等、充分な審議がなされたと確信しています。しかし継続審査の採決でした。

 紹介議員として、付託審査の模様を傍聴させて頂きましたが、これ以上の審査は請願者への過度の不安を抱かせるものであります。

 よって継続審査には反対であります。

 
大野城市国民健康保険税条例の一部を改正する
条例の制定についての反対討論
 
 地方税法の改正により、後期高齢者医療制度の創設で新たな税負担が生じる高齢者世帯、いわゆる特定世帯にたいし緩和措置がとられていることは大変評価しますが、世帯主と配偶者が年齢により後期高齢者医療制度と国民健康保険制度に分離されること自体は国民世論の大きな批判となっています。

国保加入者が1人となっても、平等割額が半額になりまた、世帯の所得が低く軽減を受けている世帯は今まで通り軽減を受けることができますが、5年間の期限があると説明があります。

 社会保険などから後期高齢者医療制度に移行し、その扶養者が新たに国保加入者となった場合には、所得割の全額と均等割の半額、国保加入者が1人の場合には平等割額が半額に減額されますが、申請が必要で期限はたった2年間だと説明があります。

いくら緩和措置を導入したとは言え、税額の大小にかかわらず、住民に新たな税負担が生じる事は間違いありません。

 また医療保険分の最高限度額56万円が、後期高齢者医療制度の創設により、医療保険分47万円と後期高齢者支援分12万円と設定されました。合計すると59万円で3万円の増額です。

 後期高齢者医療制度の創設に端を発した今回の国民健康保険税条例の改正は、いわば後期高齢者医療制度そのものに大きな欠陥があり、住民に理解が得られていないからこそ、国民の批判を受け手直しをしたのが現実ではありませんか。

 もっと根本から見直しを行わなければ、それこそ国民皆保険制度、社会保障制度が崩れていくと思います。よって今回の条例改正には反対であります。

 それからもう1点、今回の条例改正案の上程の時期についてであります。3月議会に於いて第34号議案として国保税条例の改正議案が提出されました。しかし課税限度額の改定は地方税法の改正、および施行令の改正後、通常であれば専決処分で決定する、と回答を受けました。しかし地方税法の改正は4月30日までずれ込み、通常行われています3月31日の専決処分ができなかった訳です。

 国保税の算定基準は前年度3月31日をもって判定し、課税基準日4月1日から始まる筈です。

 ならば、4月30日に国会で決定された地方税法の改正決定を受けて、その日のうちに専決処分しなければ平成20年度の改訂はできなかったのではないでしょうか?

 今回6月5日に採決しても住民の不利益になる条例の改正を4月までさかのぼるのは、法の不遡及に反するのではないでしょうか?

 また、4月15日号の広報に於いて課税限度額はすでに公表されてしまっています。

 条例改正の議決と市民への公表が前後、逆になています。これも条例改正の手順に問題があるのでは無いでしょうか。

 以上2点の理由から、第44号議案には反対であります。
 
大野城市税条例の一部を改正する
条例の制定についての反対討論
 
 今回の市税条例の一部改正につき2点の理由を挙げ反対致します。まず1点目は、寄附金税額控除、いわゆる「ふるさと納税」が、個人住民税の寄付金税制の拡充・税額控除として導入されました。

 自治体への寄付金は、500円を超える部分については個人住民税の1割を限度に税額を軽減します。

 大野城市も、ふるさとを離れた方から「ふるさと納税」として寄付金が寄せられる可能性がありますが、反対に大野城市民が自分が生まれ育ったふるさとへ寄付する方もあるかもしれません。
たとえば20年度に対象となる寄付を行った場合、その控除は来年の3月15日までに申告を行い、21年度の住民税課税に反映、つまり税額控除されます。本市の住民税は、寄付をされた額は20年度に増額として反映されますが、個人住民税の税額控除は来年の6月まで発生しないことになります。

 個人住民税の税収と減額の時期にずれが出てきます。 更に注目すべきは、寄付を受けた額は全額増収になります。これは地方交付税の算定基礎である基準財政収入額に参入しないからです。しかし他の自治体への寄付による税額控除で、個人住民税が減収となった場合には、その分を基準財政収入額に参入し、税収の減収額の75%が交付税措置されます。こうなりますと財政状態が厳しい自治体は、わが県、わが市、わが町への寄付をと、呼びかけに乗り出すところが増えるのではないでしょうか。

 大野城市も税収が減っては大変です、そのときは全国に出てある大野城市出身の皆さんへ、寄付の呼びかけを行いますか。これでは、自主財源の大きな割合を占めています個人住民税の健全な納税のあり方とは言えないと考えます。

 2点目は、公的年金からの特別徴収であります。

 さすがに市民税の納付とは言えず、徴収となっていますが、その徴収の意味は、辞書には以下の用に説明があります。(国または公共団体が国民から租税・手数料・現品などを強制的に取り立てること)。本来特別徴収される人は給与の支払いを受けている人で、特別徴収義務者は、地方税法321条の4に規定されている、給与の支払いをする際に源泉徴収をしている給与支払者の筈です。今回条例改定して、公的年金受給者を特別徴収される人にしています。

 給与とは、労働者・使用人などに対して、雇い主が支払う報酬であり、年金とは、一定の金額を給付する制度のもとで、支給される金銭であり、全く性質の異なる意味合いを持っています。
年金は、老後の生活を支える為に現役時代に保険料を払い込み、一定の条件の下で支給されるセーフティーネット、生きていく保障の筈です。

 市は、「国保や市税の納税相談は、良く聞き充分に対応する」と説明しますが、今後は年金だけで生活をしている高齢者から、天引きという特別徴収を行い有無を言わさず市税を徴収して、個々人の納税相談は受けないつもりなのでしょうか。

 給与所得者でもない年金受給者から、本人の承諾もなしに特別徴収するのはまったくひどい制度であります。よって第40号議案には反対であります。
 
大野城市母子家庭医療費の支給に関する条例の
一部を改正する条例の制定
大野城市重度心身障害者医療の支給に関する条例の
一部を改正する条例の制定についての反対討論
 

 2月20日に県が発表した、平成20年度の一般会計予算案の中で、福祉三医療といわれる、乳幼児医療、母子家庭医療、重度障害者医療の制度見直しが含まれていました。

 乳幼児医療については、少子化対策として年々拡充され、今回通院費の助成対象年齢を3歳未満から就学前まで拡充し、3歳以上の乳幼児の入院費、通院費の自己負担額は定額となったものの、本市の独自施策で所得制限を適用しなかったのは評価するものです。ところが母子家庭医療の見直しでは、母子家庭を、ひとり親家庭と改め対象者に父子家庭を追加した点は、制度の改善といえますが、しかしその一方で、1人暮らし寡婦を平成22年9月30日をもって医療給付を段階的に廃しする、としています。早速10月からは、入院費の1ヶ月限度額を3,500円から12,000円になり来年の10月からは、24,000円そして22年10月からは援助廃止。通院費についても10月には月800円が1,000円に来年10月からは2,000円、そして22年10月からは援助廃止で、通常の負担になります。

 政府の男女共同参画会議の専門調査会に、6月13日に内閣府が提出した調査結果では、中高年の1人暮らし女性の約半数が、年収180万円以下で、経済的に厳しい状況にある。と報告しています。

 報告では、55歳から74歳までの男女4,000人を対象に今年の1−2月に調査した結果で、1人暮らしの女性51%が年収180万円以下で男性の33.4%を上回っています。また離婚して1人暮らしになった女性の12.5%は年収60万円未満と、より厳しい状況にあります。専門調査会は特に高齢女性の経済的自立を促す支援策を政府に提言しています。

 1人暮らしの寡婦がすべて高齢者ではないでしょうが、経済的な弱者が多いのではないでしょうか。

 寡婦の医療給付を廃しするのではなく、女性の経済的自立を促す支援策、特に高齢助成への支援を考えるべきではないでしょうか。

 重度心身障害者医療については、今年から始まった後期高齢者医療制度の関係で、65歳から後期高齢者医療制度に移行するか、今の保険に残るか選択は自由の筈です。しかし対象者を後期高齢者医療制度の被保険者に特定している事は、制度への移行を強制するものではないでしょうか。

 また母子家庭医療についても、重度障害者医療制度も自己負担の新設は、制度の後退と思います。

 以上の理由から、第46号議案および第47号議案に反対します。

 
一般質問
 
 私は、6月定例議会に於いて雇用問題の質問を行います。

 この間、「構造改革」の名ですすめられた政策のもとで、国民の中に深刻な貧困と格差が広がり、多くの国民の暮らしの中で、不安と危機が蔓延しています。 貧困と格差が拡大した原因はさまざまですが、その根源には人間らしい雇用の破壊があります。派遣労働を合法化し、相次ぐ規制緩和を繰り返したことは、雇用の不安定化、労働条件の劣悪化の中核をなす大問題です。という下りで始まる日本共産党、志位和夫委員長の2月8日衆議院予算委員会での派遣労働問題についての質問は大きな反響を呼びました。特にワーキングプアーやネットカフェ難民という厳しい状況におかれている若者達の間に、ユーチューブというネットを介して、瞬く間に共感の輪が広がりました。

 1999年に労働者派遣法が改定され、派遣労働の原則自由化がおこなわれました。

 2003年には製造業への派遣拡大が行われるなど、派遣労働の規制緩和がすすみ、雇用の不安定化、労働条件の悪化が社会問題になっています。

 総務省の労働力調査では、07年7月から9月期の非正規職員、従業員は全国で、1,736万人で労働者全体の33.4%にもなっています。若者の2人に1人は非正規雇用ともいわれています。

 また非正規雇用のうち派遣労働者は321万人で、そのうち、登録型派遣といわれる労働者が8割にも達し、不安定な就労状況におかれているのです。

 人間を使い捨てにするような働かせ方を「何とかしたい」という願望が大きく広がっています。

 若者の間に広がったものにもう一つ「蟹工船」というプロレタリア文学の古典ともいうべき、小林多喜二の本があります。増刷に次ぐ増刷で今やベストセラー本として新聞や週刊誌、テレビなどのメディアで紹介されています。

 1929年3月に完成した、この小説の中に描かれているのは戦前のオホーツクの海で「博光丸」という蟹漁と缶詰加工を一緒に行う船の中で、劣悪な搾取と労働と戦う青年の姿です。

 本文に出てくる「季節労働」の漁夫たち、貧しい農家から出てきた、まだ14、5歳のあどけない少年たち等の過酷な労働は、監督が言う「どだいおまえたちを人間だなんて思っていない」という台詞に象徴されています。また労働の場所である船は、工船(工場船)であり航路船でないから、航海法は適用されない。しかし船であるから「工場」であっても工場法の適用もうけない。という下りは、現代の偽装請け負や違法派遣など、法律をすり抜けるところと同じです。80年もたった今でも、同じ事を繰り返している、今の自分たちと同じ境遇ではないか、という思いが若者たちに急速に広がったのではないでしょうか。

 民青同盟が昨年3月から12月まで県内の青年を対象に行った「はたらく実態アンケート調査」をまとめた、福岡県の労働黒書によりますと、回答者の約4割が非正規雇用で働いていることがわかりました。また全体の6割の人が、月収16万円、年収では200万円以下という低賃金で働いています。

 雇用形態は、アルバイト、派遣、請負などで、サービス残業では5割を超えて「ある」と答えています。

 こうした労働条件の下で6割を超える人が、「生活の先行き」に不安を抱き「生活が苦しい」と回答しています。仕事についても7割の人が不満を持ち、その理由の第一位が「給料が少ない」です。

 アンケートの記入欄には、青年の悲痛な叫びが書かれています。少し紹介します。

25歳男性
 「私立大学を卒業したが、派遣でアルバイトをしている。月収は12万円、新卒じゃないと正規はないしそもそも就ける仕事もない、年金や国保は払いたくても払えない」

27歳男性。運送会社の正社員
 「毎日8時間もサービス残業があるのに月収は15万円。休みも月2、3日しかとれず生活が苦しい。

21歳女性。派遣社員
 「正社員と同じくらい働いても待遇は同じではない。給料は月14万円。家賃や保険・水道・光熱費の支払いが苦しい。物価高が不安です。

 その他いろいろありますが、年収200万円以下のいわゆるワーキングプアーと呼ばれる低賃金の給与所得者が1,000万人を超えたという証明にもなります。このような雇用の形態は、働く本人の将来のみならず、国も地方自治体の将来にも大きく影響します。大野城市でも、県や国任せでなく雇用問題に真剣に取り組むべき時期にきているのではないでしょうしょうか?

 まず本市職員の非正規雇用状況について訪ねます。
 派遣社員、嘱託職員、再任用職員のそれぞれの人数、職務内容、勤務時間、給与、社会保険の有無について回答を願います。

 以上で壇上からの質問を終わり、後は自席より行います。
 
【再質問】
(1)
○非正規雇用はあくまでも臨時採用という認識か

○契約の更新を繰り返す事は臨時ではない
 就労者が短期間で入れ替わると技能が身に付かない。正規雇用に切り替える事はないか?

○嘱託職員の給与は、基本給で206満6,400円
 手取りだと179万8,000円でやはり低賃金。
 青年の意見と同じ、格差を改善する事を要望

(2)市としての雇用対策について
@公の施設について 
 たとえば総合体育館は指定管理者で体育協会に指定。コミュニティーセンターは市直営。労働条件に違いはあるか

A指定管理者の指定切り替え時期が来るが、
 指名をするときの条件に雇用形態は加味するか

○指定管理者制度導入の条件は、経費の削減と市民サービスの向上となっている。両立はできているのか

○労働条件があまりに悪い企業や団体への指定管理者の指名は、厳格にすべきだ。

B使い捨て労働から働くルールの確立の考え
○雇用対策はもはや県や国任せでは、住民の生活は 守れない。今何らかの対策は考えているか。

【まとめ】
 2007年11月、ILO(国際労働機関)本部雇用総局が公表した日本の非正規雇用の拡大についてのリポートを紹介します。

 「現状見られる低賃金、低保障の非正規雇用の拡大は短期的に日本に競争優位をもたらすが、明らかに長期的に持続可能ではない。国内消費の低迷は、国内総生産の伸びを抑制する上に、非正規雇用では経済成長の源泉となる人的資本の形成がなされにくい」と警告しています。

 経済と社会を担う人的資本の形成を損ねては、日本経済の発展は望めないし、若者がその可能性を存分に伸ばして、社会の担い手として成長する条件を奪ってしまう。大野城市の将来像を夢見るとき、人的資本を置き去りにしては達成できない、むしろ社会の担い手を育てる事を第一に考えるべきだと思います。地方の力では限界があるのなら、国へ政策の充実を要望すべきだという意見を述べ、一般質問を終わります。
 
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